石垣島で「マングローブ」といえばラムサール条約湿地として登録されている『名蔵アンパル』のマングローブ林をご紹介するべきかと思います。
マングローブって植物の名前だと思っていませんか?私はそう思っていましたが実は違うんです。
石垣島について知りたいと思っている方には「植物」について興味を持っている方も多いと思います。
石垣市の市木は「ヤエヤマコクタン」、沖縄県の県木は「リュウキュウマツ」なのですが、いずれも石垣島では特別な植物です。
この記事では、三つの貴重植物について特徴や鑑賞できるスポットなどをエピソードも含めてご紹介します!
「マングローブ」は「ヤエヤマヒルギ」という植物の群落?!
子どもの頃は「ヤエヤマヒルギ」のことを「マングローブ」という名前の植物だと思っていましたが、そうではありません。
「マングローブ」とは、熱帯および亜熱帯地域の河口汽水域の塩性湿地にて植物群落や森林を形成する常緑の高木や低木の総称のことです。
石垣島で「マングローブ」を代表する木というのが「ヤエヤマヒルギ」です。
つまり、淡水と海水が混ざるところの干潟に生息する「ヤエヤマヒルギ」などが、たくさん生えて森林となっていることを「マングローブ」と呼ぶのです。
「オヒルギ」「メヒルギ」「ヒルギモドキ」などの種もあります。
「ヤエヤマヒルギ」の特徴
「ヤエヤマヒルギ」はマングローブを形成する熱帯の「常緑小高木」です。
葉は厚い革質の楕円形で、先端は少し尖っており、曲げるとパチパチ折れます。一枚だけ黄色になっている葉は過剰塩分が蓄積して落葉する寸前なので味見してみるとしょっぱいです。
根本から支幹が分岐し、成木になるころにはどれが主幹か支幹かわからなくなります。
根や幹、枝から無数に気根を伸ばし、泥上に届くと先端が泥中に侵入して支柱根となり、たこ足状の独特な形状になります。
支柱根と言われている気根は幹を支えているように見えるためそう呼ばれていますが、本来の機能は生育環境として非常に厳しい地下部にまで空気を送ることにあるそうです。
ヒルギの単体のかわいい姿も見てほしい!
単体でヒルギを見るとアーチ状にのびた気根のタコ足がすごくかわいいんです。
地中に潜り込もうと長ーく伸びている気根を見つけるのも楽しいです。
海流散布植物の代表であるといわれているヒルギの、こん棒状の「胎生種子」が落下し、突き刺さっている姿を見つけるのも面白いですよ。
ジャングルのマングローブも迫力がありますが、ポツンと単体のヒルギを観察するのも楽しめます。石垣島に来たら絶対に見てほしい植物です!
「ヤエヤマヒルギ」などの「マングローブ」が見られるおすすめスポット
ラムサール条約登録地となっている『名蔵アンパル』のマングローブ林がおすすめのスポットです。『名蔵アンパルの干潟』には亜熱帯気候特有の動植物が分布しており、貴重な野鳥の飛来地、生息地なので、貴重な生き物に出会うこともできます。
石垣島では、名蔵アンパルを舞台として、ミタガーマ(目高蟹)の誕生祝いを歌っている「アンパルヌミダガーマユンタ」という民謡があります。15種類のカニたちが登場し、それらのカニの生態を良く捉えて擬人化されている歌なんですよ。
国の天然記念物に指定されている『宮良川』のマングローブ林もおすすめです!
マングローブ林を満喫するなら案内人付きのカヌー・カヤックのツアーを利用した方が楽しめますし、安全・安心です。もちろん遠目からの景色も幻想的で、十分楽しめます。
石垣市の市木「ヤエヤマコクタン」運動公園西通りで見られます!
「ヤエヤマコクタン」の心材は緻密で高級材です。昔から沖縄の三線(さんしん)の棹(さお)の材料として重宝されてきました。
また、昔は旧盆の三日間、仏前に供える果物類の一つとして、欠くことのできないのが「ヤエヤマコクタン」の実だったそうです。アダン・バンジロー・シークァサー等の実とともに仏前に供えたとのことです。
「ヤエヤマコクタン」の特徴
石垣島の市木「ヤエヤマコクタン」は「リュウキュウコクタン」ともいいます。石垣島では方言名のクロキやクルチと呼ばれています。
樹皮はご想像通り(?)黒色で、クロキと呼ばれる由来のようです。
「高木(こうぼく)」は3mを超える種類を指しますが、さらに樹高の程度から「小高木」「中高木」「大高木」に分けられたりします。「ヤエヤマコクタン」はカキノキ科の「常緑中高木」です。
分枝が多く、葉は卵を逆さにした形という意の「倒卵形(とうらんけい)」または「倒卵状楕円(だえん)形」で長さ3~6㎝の革質。花は3数性で雌雄異株。果実は楕円形で長さ約1㎝です。
盆栽・庭木・家具・器具・記念木・街路樹など、多様な用途の有用樹木でもあります。
自然の姿と剪定された姿の比較がおもしろい!
昔から新築した家に「ヤエヤマコクタン」を植えるとお金持ちになれると言われています。縁起の良い木なので現在でも庭に植えている家は多く、剪定されているものもあります。
業者さんに依頼したり、ご自分で剪定されたり、それぞれだと思いますが、美しい形状に整っている姿は全く違う木のようです。
木の上の部分は採光性が高く成長が早いので茂りやすく、逆に下の部分は光が当たらずあまり成長しないため、剪定する際は上の方はうすく、下の方は濃くしてあげると全体の濃さのバランスは良くなるらしいです。
全体のバランスを考えながら枝の成長の方向性を考えて剪定されている姿と、自然のままの姿とを比べて見ていただくと楽しめますよ。
すごく細いものを見ると「三線の棹にはまだ太さが足りないな~」などと思いながら、勝手に成長を見守っています。
「ヤエヤマコクタン」が見られるおすすめスポット
市街地では「ヤエヤマコクタン」は石垣第二中学校と石垣市中央運動公園の間の通り『運動公園西通り』に街路樹として植えられていますのでそちらで見ることができます。上品な佇まいが、高級感を漂わせています。
『宮良自動車整備工場』の近辺に植えられている街路樹の「ヤエヤマコクタン」は『運動公園西通り』よりは大きく成長した木が見られますが、他の木も植えられているので探し当てるのが難しいかもしれません。
また、『於茂登トンネル』を北側に抜けると『せせらぎ広場』と呼ばれる湧き水が流れている公園があり、休憩エリアとなっているのですが、そこでも見ることができます。
休憩がてら立ち寄っていただくと「ヤエヤマコクタン」だけでなく「デイゴ」や「ガジュマル」も鑑賞できますし、湧き水が涼しくて気持ちいいので、なんだかお得ですよ。
石垣島で「リュウキュウマツ」といえば『ヨーンの道』がおすすめ!
市街地から川平までを結ぶ道は「リュウキュウマツ」の大木が枝を伸ばし、昼間でも暗いため『ヨーンの道』と呼ばれている古くからの道です。
「ヨーン」とは石垣島の方言で夜という意味です。闇という意味も含まれており、かつてはそれほどまでに暗い道だったそうです。
現在では道は整備され、松の木も少なくなっておりますので、さほど暗くはありません。
日本の児童文学史にのこる傑作だと言われている下嶋哲朗( しもじまてつろう)さんの著書「ヨーンの道」の舞台となった場所です。
「リュウキュウマツ」の特徴
沖縄県の県木「リュウキュウマツ」はトカラ列島の悪石島(あくせきじま)から先島諸島の西表島(いりおもてじま)までに分布する固有種で、一年中緑の葉をつけ、樹高が3mを超える種類を指す「常緑高木(じょうりょくこうぼく)」です。
樹皮はクロマツとアカマツを混ぜたような濃い灰色で、不規則な割れ目が特徴です。枝は横に張り出しやすく、日陰になる下枝が枯れるため、傘のような樹形になります。
耐風性、耐潮性、耐乾燥性ともに優れており、環境への適応性と美しい樹形から庭木や防風、防潮林街路樹としても植えられています。薪炭材、建築材、家具材としての利用もあります。
枝が張り出している姿を見てほしい!
市街地の街路樹として植えられている「リュウキュウマツ」は建物が邪魔していたり、枝が伐採されたりして枝が横に張り出せないものがあります。
スペースにゆとりのある場所で見られる「リュウキュウマツ」は枝が横に張り出しており、かっこいい樹形に生育している姿が見られるので、是非それを見てほしいです。
『ヨーンの道』では、枝を横に張り出している大木の「リュウキュウマツ」の松並木を見ることができます。迫力満点で見ごたえがありますよ。
「リュウキュウマツ」が見られるおすすめスポット
マックスバリュ石垣店と八重山高校の間の『産業道路』には、「リュウキュウマツ」の街路樹が植えられております。
市街地近くの山岳である『バンナ岳』でも大きな「リュウキュウマツ」が見られます。『バンナ公園』への道『石垣浅田線』の街路樹としても植えられています。
『明石直売所』の「リュウキュウマツ」はカッコいいの一言です!明石に行くまでの道中でも見ることができます。
「リュウキュウマツ」は石垣島のいたるところで目にすることができますが、『ヨーンの道』では2㎞に及ぶ松並木の景色が見られます。
『ヨーンの道』は、市街地から川平(かびら)へたどる県道207号線『川平高屋線』にあります。『川平湾(かびらわん)』へ行く際には道中の「リュウキュウマツ」の松並木をお楽しみください。
まとめ
いかがでしたか。石垣島の特別な植物について知っていただくことはできたでしょうか。
石垣島は自然豊かな場所です。植物に関するエピソードも多くあります。植物のことを知ることで、島の歴史や島人の思いに触れることもあるのです。
石垣島のことをもっと知っていただき、石垣島のことをもっともっと好きになってもらえればとの思いで、植物についてご紹介しました!